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MTBF(MIL-HDBK-217F-2)について

MTBFの事を耳にしたことのある方は、 少なくないと思いますが、環境条件によって13種以上のカテゴリーに分類されている事を知っている方は、 意外に少ないと思います。
以下に、その分類を示しますので、MTBFを検討するにあたり、 是非参考にして頂きたいと思います。 1995年に更新されて以降、大きな変更は無いようです。

・(GB)Ground(地上)、Benign(温和):移動せず温度と湿度が管理され、かつそれが持続しやすい環境。実験機器、試験装置、医用電子機器、事務・科学分野複合計算機システム、地上サイロのミサイル・その支援機器を含む。

・(GF)Ground(地上)、Fixed(固定):十分な空冷を備えたパーマネントラック内や暖房をしていない建物内に設置されるなど、適度に制御された環境。航空交通管制レーダーや通信施設の永久設置物を含む。

・(GM)Ground(地上)、Mobile(移動用):車輪のある乗物や軌道車に搭載される機器や手動搬送機器。戦術ミサイル地上支援機器、移動通信機器、戦術的射撃指揮システム、携帯通信機器、レーザー識別、距離計を含む。

・(NS)Naval(海)、Sheltered(有蓋):水上艦において風雨にさらされない、もしくは主甲板の下にある状況。潜水艦に搭載される機器を含む。

・(NU)Naval(海)、Unsheltered(無蓋):風雨にさらされた状態で保護されていない水上艦輸送機器や、海水に浸かっている機器。ソーナー装置や水中翼船に搭載される機器を含む。

・(AIC)Airborne(空)、Inhabited(有人)、Cargo(貨物):搭乗員が占有する貨物室における標準的な状態。気圧、温度、衝撃、振動の極限環境は最小限である。例として、C130・C5・B52・C141のような長期任務航空機を含む。
また、このカテゴリーは、T38のような低性能小型機にも適用される。

・(AIF)Airborne(空)、Uninhabited(無人)、Cargo(貨物):AICと同様であるが戦闘機や迎撃のような高性能航空機に搭載される。例として、F15・F16・F111・F/A18・A10航空機を含む。

・(AUC)Airborne(空)、Uninhabited(無人)、Cargo(貨物):飛行中に搭乗員のいない、環境的には制御できない領域。気圧、温度、衝撃の極限環境は過酷になる場合がある。例として、C130・C5・B52・C141のような長期任務航空機の無人領域を含む。
また、このカテゴリーは、T38のような低性能小型機の無人領域にも適用される。

・(AUF)Airborne(空)、Uninhabited(無人)、Fighter(戦闘機):AUCと同様であるが、戦闘機や迎撃機のような高性能航空機に搭載される。例として、F15・F16・F111・A10航空機を含む。

・(ARW)Airborne(空)、Rotary(回転)、Winged(翼):ヘリコプターに搭載される機器。レーザー識別、射撃管制装置、通信機器のような内部・外部両方に搭載される機器に適用される。

・(SF)Space(宇宙)、Flight(飛行中)、Earth orbital(地球周回軌道):GBに近い環境。動力飛行中でも大気圏再突入下でもない宇宙船。衛星とスペースシャトルを含む。

・(MF)Missile(ミサイル)、Flight(飛行中):吸気機関式ミサイル、巡航ミサイル、自由飛行時のミサイルの動力飛行に関連する状態。

・(ML)Missile(ミサイル)、Launch(発射時):ミサイル発射(空・陸・海)、宇宙船打ち上げ、宇宙船の大気圏再突入、パラシュートでの着陸に関連する過酷な状況。また、固体燃料ロケットエンジン推進動力飛行、潜水艦からの魚雷・ミサイル発射にも適用される。

・(CL)Cannon(キャノン)、Launch(発射時):155ミリの大砲射撃や5インチ誘導弾に関する極めて厳しい環境。発射から着弾までの発射物に適用される。